カルメンの名曲はパクリだった?
【豆知識】古典派ってなに?古い音楽なの?
クラシック音楽の時代区分の一つとして“古典派”と言われる時代があります
“古典”って言うくらいだから古い音楽だから古典なわけじゃないんです
この古典というのはClassicという「長く時代を超えて規範とすべき物」という意味もあり、その為に「長く時代を超えて規範とすべき物」=「古典派」と名付けられました
ソナタ形式も発達し、バロック音楽の特徴であった通奏低音がなくなりました。機能的な和声進行からなる和声音楽(ホモフォニ-)に変わるなどまさに現代のクラシック音楽の規範となるものがたくさん生まれました。
この時代で有名な作曲家といえばやはりハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンではないでしょうか?
またこの時代の特徴としては、王族や貴族達に支えられてきた音楽家たちの身分も変わってきたことが挙げられるのではないでしょうか。
例えば一般聴衆に直接音楽を聞かせて、演奏会や楽譜の出版で生業を立てるような音楽家が出現しました。そのため作曲家が本当に自分の書きたい音楽を書ける時代が始まったのです。
『ウィリアムテル』ってオペラだった!?
ウィリアムテルといえば誰もが知ってるクラシックの名作ですね
この曲は実はオペラ『ウィリアムテル』(ギヨームテル)の序曲だったんです
作曲家はもちろんロッシーニ
あらすじ
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オーストリア圧政下のスイス。
スイス各州は同盟を結び、自由を取り戻すために戦うことを決意します。
弓の名手テル(スイス側)は一度は敵に捕まりますが、最後に宿敵ジェスレルを打ち抜きます。
最後にスイス連合はオーストリアの圧政から脱し、自由を再び手にします
そして有名なテルが息子の頭の上のリンゴを打ち抜くシーンは第3幕にあります
打ち抜く直前に息子に対し歌いかけるアリアSois immobileはとても綺麗な曲です
しかしこのオペラはテノールの曲にとても高い音があるのでキャスティグが難しく、オペラ自体も4時間と非常に長いので現在ではあまり公演されておらず、されたとしても大幅カットされています
トムとジェリーのこの曲は何?(対訳付)
トムとジェリーの『オペラ騒動』で歌われてる曲、実は本当にオペラで歌われてる曲なんです!
トムとジェリーのオペラ騒動
バリトン歌手のトム(トーマシノ・キャッティ・カザーザ)のコンサート、舞台下で眠っていたジェリーが彼の歌で目を覚まし、トムの歌をやめさせようとするお話。
この曲はロッシーニ作曲のオペラ『セビリアの理髪師』の「私は街の何でも屋」というフィガロの歌う曲です
ロッシーニは有名な『ウィリアムテル』(ギヨームテル)の作曲家です
参考までに歌詞の対訳を載せておきます
↓↓↓
Largo al factotum della città.
Presto a bottega che l'alba è già.
Ah, che bel vivere, che bel piacere
per un barbiere di qualità! di qualità!
道を開けろ 町の何でも屋がお通りだ
夜明けが近い 店へ急げ
ああ 素晴らしい人生 素晴らしい喜び
床屋の腕前も一流さ!
Ah, bravo Figaro!
Bravo, bravissimo!
Fortunatissimo per verità!
ああ 凄いぞフィガロ!
凄い、最高だ!
なんてついてる男!
Pronto a far tutto,
la notte e il giorno
sempre d'intorno in giro sta.
Miglior cuccagna per un barbiere,
vita più nobile, no, non si da.
何でもやるぞ
昼も夜も 常に動き回って
床屋にとって最高の人生さ
Rasori e pettini
lancette e forbici,
al mio comando
tutto qui sta.
V'è la risorsa,
poi, del mestiere
colla donnetta... col cavaliere...
カミソリにくし
針にハサミ
自在に操って
何でもここに
これが商売道具
紳士淑女のお客様
Tutti mi chiedono, tutti mi vogliono,
donne, ragazzi, vecchi, fanciulle:
Qua la parrucca... Presto la barba...
Qua la sanguigna...
Presto il biglietto...
Qua la parrucca, presto la barba,
Presto il biglietto, ehi!
みんなにひっぱりだこ
女性も少年も 老人も少女も
こっちはかつら 髭剃りを頼む
手当をしてくれ 手紙を届けて
Figaro! Figaro! Figaro!, ecc.
Ahimè, che furia!
Ahimè, che folla!
Uno alla volta, per carità!
Ehi, Figaro! Son qua.
Figaro qua, Figaro là,
Figaro su, Figaro giù.
フィガロ!フィガロ!フィガロ!
ああ何て騒ぎだ! この人だかり!
一人ずつお願いしますよ!
おーいフィガロ! あっしはここに
フィガロはここに フィガロはそこに
フィガロは上に フィガロは下に
Pronto prontissimo son come il fulmine:
sono il factotum della città.
Ah, bravo Figaro! Bravo, bravissimo;
a te fortuna non mancherà.
素早い動きは電光石火
おいらは町の何でも屋
ああ凄いぞフィガロ! 凄いぞ最高だ!
いつだってツキまくりなのさ!
ラヴェルを騙して作った音楽
ボレロの作曲で有名なモーリスラヴァル
そんな彼が騙されて作曲した曲があるんです
それは『ドゥルシネア姫に心を寄せるドン・キホーテ』(Don Quichotte à Dulcinée)
この作品は「空想的な歌」「英雄的な歌」「酒の歌」の三曲の作品からなる連作歌曲(チクルス)です
パプストという映画館監督が映画『ドンキホーテ 』をつくる際劇中歌を作る依頼をラヴェルにしてこの曲が出来あがりました
しかしパプストは他の有名作曲家たち(ミヨー、ファリャ、イベール)にも同じ内容で依頼しており全て揃ったあとにコンペのようにして曲を決めていたんです
結局使われたのはイベールの作品となり訴訟問題にまで発展しました
しかしその後『ドゥルシネア姫に心を寄せるドン・キホーテ』はコンサート用の作品として発表され1934年に演奏されました
空想的な歌
もしも、こんなに良く廻る地球が
あなたの感情を傷つけるとおっしゃるなら
急いでパンサを差し向けましょう。
もしも、星々が花と咲きすぎる大空から
退屈がやってくるとおっしゃるなら
天の土地台帳を引き裂いて
一撃で夜を一掃してしまいましょう。もしも、これほど空っぽな虚空が
全然お気に召さなぬとおっしゃるなら
神の騎士たるわたしは槍をつかみ
すぎゆく風に星をちりばめましょうだが、愛する方よ
もしも、私の血があなたのもの以上に私のものとおっしゃるなら
私は不名誉に打ちひしがれて青くなり
あなたから祝福しながら死にましょうおお、ドゥルシネア姫よ
英雄的な歌
やさしい聖ミカエル様よ、私におあたえください
わが姫を見、その声を聞くゆとりを
やさしい聖ミカエル様、彼女に気に入り
彼女を守る術を選ばせてくださいませ
やさしい聖ミカエル様、聖ジョルジュ様と一緒に
青い袖なしマントにつつまれた聖母マリアの
あの祭壇に降りてきてくださいませ天の光で祝福してください私の剣を
それに匹敵する純粋さと
慎みと貞節における同様に
敬處さにおいても匹敵するものを
わが姫よ
おお、偉大なる聖ジョルジュ様、聖ミカエル様
私の徹夜を眠らずに見ている天使
青い袖なしマントにつつまれた聖母マリアよ
私のやさしい姫はあなたにそっくりです
アーメン
酒の歌
私生児なんか勝手にしろ、名門の姫よ
奴めは、あなたの優しい眼から私を亡き者にしようと
こう言った、愛と古い葡萄酒は
わたしの心と魂の悲しみに服させると!
私は飲む
陽気に
陽気さこそが唯一のお目当てだ
真っ直ぐにそこに進む…飲んだときには!焼餅野郎なんか勝手にしろ、褐色の髪の友よ
奴めは愚痴り、涙を流し
いつも、酔いを水で創る
あの蒼白い恋人だと誓ったりする!
私は飲む…
実在したドン・ジョヴァンニ
モーツァルトのオペラ『ドンジョヴァンニ』の主人公ドンジョヴァンニ
彼は女たらしの貴族で彼の関係を持った女性のリストによればヨーロッパ中でおよそ2000人の女性と関係を持ち、騎士団長との決闘で勝つほどの剣の実力を持つキャラクターです
奥様これが愛のカタログ(ドン・ジョヴァンニの女性遍歴を語る歌)
シャンパンの歌
そんなスーパーマンのような人物にモデルがいたことはご存知ですか?
その人物の名前は“ジャコモ カサノヴァ”
彼は1725年ヴェネチアに生まれ生涯1000人以上の女性と関係を持ったと言われています
勿論ただの女たらしというわけではありません。オーストリアの大政治家シャルル・ド・リーニュはカサノヴァを彼の知りえたうち最も興味深い存在であると評し「この世界に彼(カサノヴァ)が有能さを発揮できない事柄はない」とまで語るほどの人物だったんです
ドンジョヴァンニ顔負けですね笑
そしてこのジャコモカサノヴァはドンジョヴァンニの台本作家ロレンツォ・ダ・ポンテとも知り合いでこのオペラの台本作成を手伝ったのです
勿論ドンジョヴァンニの初日の公演を観劇していました。
宝塚歌劇団のミュージカル『カサノヴァ』でも取り上げられているのできになる方は是非!
(ただこのミュージカルではポンテは出てこずモーツァルトと直接の知り合いということになってますが、、、)
こちらもなかなかのイケメンですね笑